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お知らせ 2024.09.26

オフサイトPPA+蓄熱槽を活用したデマンドレスポンス ~読売新聞ビルに東京電力EP初の持続可能な再エネ電力スキームを導入~

 株式会社読売新聞東京本社(以下、読売新聞社)、東京電力エナジーパートナー株式会社(以下、東京電力EP)、および東京発電株式会社(以下、東京発電)は、企業が太陽光発電所から電力の供給を持続的に受けるオフサイトフィジカルコーポレートPPA※1(以下、本PPA)を締結いたしました。これにより、読売新聞社の本社ビル(所在地:東京都千代田区)(以下、読売新聞ビル)と東京北工場(所在地:東京都北区)で使用する再生可能エネルギーの割合を高めるとともに、読売新聞ビルに設置されている蓄熱槽※2を活用したデマンドレスポンス(以下、DR)も行い、再生可能エネルギー由来の電力(以下、再エネ電力)の活用の最大化を図ります。PPAと蓄熱槽を組み合わせたDRは東京電力EPとしても初めてとなる先進的な取り組みで、東京都が今年度から始めた「蓄熱槽等を活用したエネルギーマネジメント推進事業」にも採択されました。
 本PPAでは、東京発電が茨城県と群馬県に建設する複数の太陽光発電所(発電容量合計:1,300kW)から約230万kWh/年が、読売新聞ビルと東京北工場に供給され、両物件が使用する電力のおよそ13%が再エネ電力になります。発電所の場所の選定においては、山林の伐採などを避けて休耕地を選定するなど環境保護の観点を重視しました。2025年3月から順次供給を開始する予定です。

※1 コーポレートPPA(Power Purchase Agreement:電力購入契約)は、企業が再エネ電力を発電事業者から長期にわたって固定価格で購入する契約。オフサイトPPAとは、遠隔地の発電所から一般の送配電網を介して電力を調達する形態で、フィジカルPPAとは、発電事業者が小売電気事業者を通じて電力と環境価値をセットで需要家に供給する形態。
※2 電気を熱に変換して、空調用の熱を貯めるための水槽。大規模ビルの地下などに設置され、従来は、電力の需要が落ちる夜間の電力で作った冷熱や温熱を蓄えておき、日中に放熱して冷暖房に使うという運用が標準的だった。

背景~再エネ普及に伴うエネルギー課題

 太陽光発電は発電量が天候により変動するところ、太陽光発電の導入拡大によって近年はこの変動が大きくなっており、電力需給のバランスが崩れて大規模停電を招く事態を防ぐために一般送配電事業者等により出力制御が実施され、再生可能エネルギーを活用しきれない状況が生じています。
 送配電網全体の電力需給状況に応じて、利用者自身が使用する電力量を調整することで、電力の需給をバランスさせる取り組みがDRです。従来は、電力需給がひっ迫する時間帯に電力使用量を下げる「下げDR」が主流でしたが、近年は再エネ電力が供給過多となる時間帯に電力使用量を上げる「上げDR」も、省エネ法改正等による電力需要最適化対策・需給対策として、国が提言するエネルギー施策のひとつに位置づけられています。

導入スキーム(蓄熱DR)の概要

 読売新聞社と東京電力EPは、エネルギー課題の解決に向け、蓄熱槽に着目しました。再エネ電力が余剰となる日中に蓄熱槽を活用して熱を蓄えておくことで、その分再エネ電力を無駄なく利用することができ、火力発電への負荷抑制と送配電網の安定化につながると考え、両社で検討を重ねた結果、読売新聞ビルの地下にある2,000tの蓄熱槽をDRに活用する本スキームを構築するに至りました。
 技術的には、アズビル株式会社が開発した蓄熱制御アプリケーションの導入により、蓄熱と放熱の運転時間を機動的に変更することを可能とし、エナジープールジャパン株式会社が有する発電と需要の予測技術やDR運用ノウハウを組み合わせることで、予測に基づいて蓄熱槽の蓄熱と放熱の運転時間を最適な時間帯に調整します。従来は夜間に蓄熱するところ、空調の利用が少ない春や秋の休日の昼間等に蓄熱することで、本スキームにおける再エネ電力の自家消費率100%を達成できると考えます。
 本件は、東京都と東京電力EPが「蓄熱槽を活用した節電マネジメント(デマンドレスポンス)の社会実装事業(2023年度終了)」として連携してきた対策を導入するもので、東京都が進めるHTTアクション※3として今年度から補助事業に加わった「蓄熱槽等を活用したエネルギーマネジメント推進事業」の補助を受けて実施します。

※3 東京都が掲げる、エネルギー効率の最大化と、再生可能エネルギーの導入と促進によるゼロエミッション東京の実現に向け、都民ひとりひとりや企業にできる取り組み『HTT』(電力をⒽへらす・Ⓣつくる・Ⓣためる)を指す。

読売新聞社のカーボンニュートラルに向けた取り組み

 読売新聞社は、2024年11月2日に創刊150周年を迎えます。2023年4月にGXリーグ※4に参画し、2030年度の温室効果ガス排出量を2013年度比46%減、2050年に排出量実質ゼロを目標に掲げています。読売新聞ビルでは、これまでも省エネの徹底や、コージェネレーション発電機によるピーク時の使用電力抑制を行っていますが、蓄熱槽のDR運用を導入することで、より高度で最適なDRの実現を追求してまいります。

※4 2050年のカーボンニュートラル実現を見据え、GX(グリーントランスフォーメーション)に積極的に取り組む企業群が、官・学とともに経済社会システム全体の変革や新たな市場の創造に向けて協働する任意の組織。

東京電力EPのカーボンニュートラルに向けた取り組み

 東京電力EPは、オフサイトフィジカルコーポレートPPAを含む多彩なメニューの提供を通じて、各種制度への対応や安定的な電源の確保等、再エネの活用におけるお客さまの様々な課題を解決し、お客さまとともにカーボンニュートラル社会の実現に寄与してまいります。

 

【問い合わせ先】
 東京発電株式会社 業務統括室 総務広報グループ  TEL:03-6371-5200